原風景がここに。『故郷ウクライナ追憶のレシピ SUMMER KITCHENS』

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2023年5月に出版されたばかりですが、原著はこちら。
2020年にイギリスのブルームズベリー出版より出ていて、
とてもとてもかわいいイラストが表紙になったもの。

 Summer Kitchens

 

日本語版のにあたっては
ウクライナの原風景を感じさせる写真表紙を採用し、
印象をより具体化。
毎日ニュースで流れてくる悲惨な風景を思うと、
この表紙にぐっとくる人は多いと思います。

目次

作業場でありキッチンであり憩いの場

サマーキッチンとは、母屋とは別に、
農作物の処理や保存食作りのために畑のそばに建て建物のことだそうで、
ウクライナ人にとっては郷愁を誘う大切な場所だったとのこと。

夏の暑さを遮る石造りの建物に
果物や野菜を運び込んで発酵食品やピクルス、
保存食品を作り、厳しい冬に備えるだけでなく、
食事を採ったり、
夏の長い夜を家族で静かに過ごす場所になったりするのだそう。

それら思い出のレシピが
たっぷりと綴られた解説文、
素朴な写真とともに350ページにわたって
紹介されています。

ピクルスにウクライナ式餃子に

レシピで驚いたのはきのこのピクルス。
それから砂糖で甘く似たサワーチェリーを詰めたワレニキ。
ウクライナ式餃子とも説明されますが、
小麦粉と水、卵で作る生地には
本当にさまざまなフィリングを詰めるのだそうで、

「1章まるごと使ってさまざまな料理方法や盛りつけ方、食べ方を紹介できるくらい」

だそうです。

あ、ちなみに、レシピの作り方は、
日本の料理本のいわゆる「作り方」スタイルではなく、
文章で伝えてくれるタイプ。

材料表に分量の記載はあるのですが、

「〜の味を確認し、必要なら調整します。強めの味に仕上げてください」

という具合。
著者はプロのシェフでもあるので、
プロの台所で一緒に立って教えてもらっている感あり。

思わず読んでしまう料理本です。

 

プロフィール

オリハ・ハーキュリーズ
ロンドンを拠点とするウクライナ人シェフ。フードライター、フードスタイリスト。ウクライナ南部の町・カホウカ出身。

 

スタッフ

写真: エレーナ・ヘザーウィック、ジョー・ウッドハウス
日本語版ブックデザイン:久保多佳子(haruharu)
翻訳編集:横倉直美(株式会社イデア・インスティテュート)

 

目次

サマーキッチン
ウクライナの味
発酵食品、ピクルス、保存食品~9月の手仕事
朝食と軽食~日の出から日没まで
ブイヨンとスープ~滋養のひと皿
パン、パスタ、ダンプリング~粉と水の錬金術
野菜料理~野から森から
肉料理と魚料理~牧場と川と海
ケーキ、デザート、ぺストリー~甘い生活
サマーキッチンの思い出
メニューの提案
食材について
SUPPLIERS
ACKNOWLEDGEMENTS
索引