インドシナ三国の食文化と料理に親しくなる『アンドシノアーズ 旧フランス領インドシナ料理』

アンドシノアーズ 旧フランス領インドシナ料理
定価:2,430円
発売日:2020年7月30日
発行・発売:柴田書店
判型・体裁:B5変形(25.7 x 18.2 x 2cm)、128ページ

前回、アンドシノアーズに行ったのは、2019年1月でちょうど3年前。
コロナ禍前の平和な時代のことだった。

2022年の1月、ふたたびアンドシノアーズに伺うことになったので、本書をあらためて取り出して、インドシナ三国の文化にぐいっとダイブした。

インドシナ三国への理解が進む本

ラオス、カンボジア、ベトナムのインドシナ三国を愛する著者のふたりが本書のためにピックアップしたのは、「三国がフランス領インドシナに組み込まれるより昔からの品と、ころにある時代に生まれたものだけを選んだ」という46品のレシピ。

今では「古典料理」と言われて、現地でもほとんど見かけないものになってしまったそうだ。
レシピの説明前には、それぞれの地域の暮らしや文化背景が詳しく説明されていますが、気軽に作って楽しむいわゆるレシピ本ではないのは確か。

料理を入り口にした、インドシナ三国の文化の理解への手がかりを知る本だと考えたほうがしっくりきます。

著者であるお二人が持ち帰ってきたという現地の食器や調理道具、レトロな家具などがそのまま本の中でも使われていて、それがなんともおしゃれでおいしそう。
スタイリングを楽しむにももってこいな写真が次から次へと表れます。
園さんのノスタルジックな写真が素敵なのです。
料理好き、南国アジア好きの心がぐいっとつかまれます。

そうした素敵な写真を引き立てるシンプルなデザインもまたいいのです。
文化的な話から歴史、日本では入手できない食材や調味料、ハーブの代用品などを説明するページなどもあって、本書を構成する要素は多いのです。
それだけに、白地中心のラインが引かれたページは、整理されていてとても読みやすい。
資料として所有するのにもってこいだと思います。

米の文化ながら「違い」こそが文化

日本とは異なるものの「米」が食の基本にあるからか、バナナの葉にくるまれたお菜もハーブたっぷりなスープのどれも、とにかくおいしそうで作ってみたくなります。
とくに本書では、ごはんに合うおかずのレシピが多いため。

確実に日本とは違う、南国ならではと言えるのは、現地でお祝い事やもてなしに使われるという昆虫食の写真。
どーんと見開きに使われているので、さすがにぎょっとしますし、そこはできるだけ開かないようにしていたり。

でもそれも含めて、未知の文化を味わうため。
日本との違いを追いかけたらもっと楽しめるでしょう。

できることなら本書と同名の1日1組限定の料理教室「アンドシノアーズ」に行って、かの地の料理を味わえたら最高です。

教室という体裁なので、料理が運ばれてくるたびにオーナーで写真家の園さんが、調理を担当するあずささんが、非常に丁寧に説明してくださるのですが、はじめて聞くものが多く、また説明をきいたらしっかり味わいたいという欲も手伝って、せっかく聞いたあれこれは一度聞いただけではなかなか頭に入ってきません。

ですから、訪れる前の予習に、あるいは行った後にあの味を追体験するために本書を開くのがいちばん。

おふたりのインドシナへの深い愛がとてつもなく美しいんです。
レシピ本というより読む本というほうがしっくりきます。
人気の料理家でフリー編集者のツレヅレハナコさんが巻頭で序文を寄せていることも最後に付け加えておきます。

 

制作スタッフ

文・写真 園健・田中あずさ
編集 齊藤立夫 小林淳一(コバヤシライス)
料理撮影 鈴木泰介
デザイン 根本真路

 

目次

この本について
寄稿① それは村の煮炊き所のように。 ツレヅレハナコ
印度支那の食 おもてとうら 園 健
インドシナらしさについて 田中あずさ
地理で見る旧フランス領インドシナの食文化
アンドシノアーズの食材・調味料一覧

山の章
山岳地帯ならではの料理
1:青唐辛子とにんにくのディップ
2:白いきのこの和えもの
3:焼きトマトのディップ
4:たけのこと豚肉の包み蒸し
5:山のスープ
6:根菜ハーブともち米のスープ
7:白身魚と焼トマトのスープ
8:豚肉のラープ
9:レモングラスのファルス
10:蒸し野菜と生姜の和えもの
11:鹿肉のレモングラス炒め
12:豚肉と香草の腸詰め
13:魚の香草揚げ
14:もち米

湖沼・川の章
湖沼や川の周辺地域の料理
15:白身魚のラープ
16:魚卵と根菜ハーブのディップ
17:白身魚とプラホックのそぼろ煮
18:川魚の素揚げ 若いタマリンド添え
19:鯉と豚肉のココナッツジュース煮
20:若いバナナと巻き貝の煮もの
21:川魚の素焼き 熟したタマリンド添え

海の章
沿岸地域ならではの料理
22:魚のパイナップル炒め煮
23:魚の素揚げ 発酵大豆だれ
24:巻貝のココナッツ煮
25:蟹のタマリンド炒め

平野部の章
水田地帯や平野部の料理
26:白身魚の香草蒸し
27:蒸し野菜と二種のたれ
28:巻貝と豚肉の蒸しもの
29:バナナのつぼみと鶏の蒸しもの
30:蒸しプラホック ライム風味
31:焼きプラホック
32:鶏の香草グリル
33:アヒル卵と瓜の炒め
34:鶏肉と生姜の炒め煮
35:ささげ豆のクルーン炒め
36:豚肉のクルーン炒め
37:空芯菜とクルーンのスープ
38:豚肉と川エビの炒め煮
39:蓮の茎と豚肉の炒め
40:バナナのつぼみと鶏肉のスープ
41:アヒル卵とプラホックの蒸しもの
42:茄子と豚肉の炒め煮
43:旧正月の茹でちまき
44:牛肉とパイナップルの煮込み
45:ナマズとクルーンの蒸しもの
46:アヒルの腐乳ロースト

寄稿② 岡本 仁

 

 

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