料理の考え方を学ぶ『レシピを見ないで作れるようになりましょう。』

レシピを見ないで作れるようになりましょう。
定価:1,650円
発売日:2017年12月16日
発行・発売: SBクリエイティブ
判型・体裁:A5(21 x 15 x 1.4cm)、176ページ

東京駅前の某大手書店で探しものをしていた時のことです。
平台に高々と並べられた本書を手に取ったのは、20代とおぼしき二人連れのうちの彼女のほう。彼氏彼女の関係なのでしょうか、一緒に料理の本を探しに来たようです。
パラパラとめくる彼女の手元を覗き込んだ彼氏が一言。

「字ばっかりじゃん」

そうです、字ばっかりの本ですが、これを買って読んだらきっとあなたたちもレシピを見ないで作れるようになるよ!
と私は2人の背中に向かってむなしく心の内で力説したのでした。

目次

読んだら目からウロコ

料理が苦手、でも毎日まいにち食事の支度の時間がやってくる。
そんな時に、「レシピを見ないで」「あるものだけで」「とっさの思いつきで作れたら」と考えたことはありませんか。

本書はまさに、そう願う人に向けて書かれた本。

いえ、食事作りのベテランだったとしても、読んだら目からウロコが落ちまくるんじゃないでしょうか。

学校時代には確かに料理は家庭科で学びます。
調理実習もあります。
長じて大人になれば一人暮らしだったり、結婚して家庭をもったりして、否応無しに料理と向き合う日が来るでしょう。

でも、よほど料理に興味がある人以外は、体系的に料理の仕組み、調理の化学を学ぶようなことはないと思います。

レシピなしで65品?

本書はまさに、料理の仕組み、味付けの考え方を教えてくれる本として注目を浴び、2018年度料理レシピ本大賞【料理部門】で入賞もしました。

毎月、多くの料理本が出版される中、本書はとても目立ちました。

文字だけの表紙なんて、そうそうありません。

多くの掲載レシピ数を誇り、詳しい調理工程があるなど絶対に失敗しないようにと工夫されたレシピが掲載されるのが当たり前なのが日本の料理本ですから、プロの書店員の間でも評判になった本ということだと思います。

「レシピなしで65品」と本書の帯にはあります。

が、どれもいわゆるレシピは文章だけ、正確な分量なし、写真も少ない、それでどうやって作れるようになるんだろうと思うような体裁です。
しかし、読んでいけばストンと腹落ちする瞬間に出会えるんです。

「水分不足だから野菜が焦げるのです」

という見出しから始まります。
「土にはえていた時の状態に戻す」ために使う前は30〜1時間ほど水に浸けて、というアドバイス。
一瞬、え、夜ご飯のしたくの前にそんなことできないよ、と思ってしまいますが…あれこれ用意していると、気づくと意外に30分くらいは経っているもの。
そうか、お米に浸水させるのと同時にやればいいのだよね、と納得。

料理しすぎない勇気を

また、家庭料理ならば「料理しすぎないことも大切」というメッセージも。

そして、

思いきってやってみる

“目指すところ”をイメージする

味付け以前に、食感にこだわる

味見をする

という原則と、「塩だけでも十分」だし、味が薄ければ調味料を足せばいい、煮汁を煮詰めてから絡めればいいなど、読み進めるうちに自分の舌で塩梅を決めるための考え方、見極め方を教えてくれます。

本書のような「レシピのない料理本」は多くの料理家が一度は考え、出版を夢みるものですが、一周回ってやっぱりレシピ、となってしまうところを突破できたのは、有元葉子さんだからこそかと。
顆粒だしの素やめんつゆがなくてもまったく困らなくなりますよ。

ちなみに本書は和食が中心なので、同じシリーズとして『ごはんのきほん』『ふだんの洋食』の2冊もあります(どちらもSBクリエイティブ刊)。

著者プロフィール

(本書より)
有元葉子(ありもと・ようこ)
3人の娘を育てた専業主婦時代に、家族のために作る料理が評判となり、料理家の道へ。素材を活かしたシンプルでおいしい料理だけではなく、洗練された暮らしぶりや、軽やかに人生を楽しむ生き方が世代を超えて熱い支持を集めている。メーカーと共同開発するキッチン用品「ラバーゼ」のシリーズは使いやすさと機能美を追求し、ファンが多い。不定期で開催される料理教室は、毎回多数のキャンセル待ちが出る人気。著書に『私の住まい考:家と暮らしのこと』(平凡社)、『使いきる。』『毎日すること。ときどきすること。』(講談社)、『だれも教えなかった料理のコツ』(筑摩書房)、『決定版253レシピ ようこそ、私のキッチンへ』(集英社)などがある。
https://www.arimotoyoko.com

制作スタッフ

ブックデザイン: 若山嘉代子(L’espace)
撮影: 三木麻奈
構成: 白江亜古
編集担当: 八木麻里

目次

はじめに

野菜を炒める・野菜と炒める
水分不足だから野菜が焦げるのです

「どうしてこんなに甘いの?」と驚かれる シンプル野菜炒め

失敗する原因を探っていましょう

シャキッと仕上げたい もやしのにんにく炒め

炒める前に青菜のお世話をします

色よく香ばしく炒める 青菜のにんにく炒め

おいしくたっぷり食べるなら 野菜のオイル蒸し

いつでも美味しい、ごはんのおかず キャベツと豚肉炒め

肉の代わりに油揚げも活用! 野菜と油揚げの炒め物

買い物に行けない時の、ここ一番 ねぎと卵の炒め物

一緒くたに炒める野菜炒めは難しい

簡単で美しくて美味! いろいろ野菜のオイルゆで炒め

おもてなしの一品にもなる きんぴらごぼう

グッとおかずめく 肉入りのきんぴらごぼう

なんでも“きんぴら”になります

野菜を煮る

だしいらずでできる かぼちゃの煮物

だしなしでやさしい味わい かぶの鶏そぼろ煮

炒めてから煮ると早い! 大根とスペアリブの煮物

体にしみる冬のごちそう 大根のおでん

母から教わった日本の味 里いもの煮物

野菜を揚げる

油を料理の「材料」と考えましょう

少ない油でOK ナスの素揚げ

青くささがおいしい いんげん、ピーマン、ししとうの素揚げ

いろいろ入るのが楽しい 夏野菜の揚げびたし

おいしさ新発見! モロヘイヤのかき揚げ

絶品! サクサクのフライドポテト

サラダ・あえもの

サラダ作りにおいて大切な、モノとコト

野菜の水をしっかりきる方法

出番の多い基本中の基本 葉っぱのサラダ

味付けは、料理に合えば自由でいいのです

おひたしは「青菜を上手にゆでる」ことから

いろいろな野菜がごちそうになる おろしあえ

肉を焼く

“料理しない”で肉をシンプルに食べる 豚肉のコロコロ焼き

焼いた豚肉のいろいろな食べ方

かたまり肉を焼くのはすごく簡単! 牛肉のたたき

とっておきのごちそう 牛たたきのにぎり

鶏肉は下処理で味が格段にアップします

膜切りと筋切り、していますか?

実はふっくらで皮がパリパリ! 鶏のロースト

冷蔵庫に入れておけばすぐ作れる 鶏のロズマリー焼き

驚くほどジューシーな鶏肉のしょうが焼き

野菜と相性抜群の“焼肉炒め”は便利です

玉ねぎが甘い! 牛肉と玉ねぎの中華風炒め

「まるでカキフライ」のリッチさ 豚肉のしいたけ巻き

魚を焼く

細かい塩→粗塩の順にふるのがコツ 魚の塩焼き

脱水シートを使えば日持ちしておいしくなる いわしの塩焼き

しょうゆ+柑橘に漬ける 鮭の焼きびたし

ときには洋風も かじきまぐろのマリネ、プチトマトのソース

魚を煮る

“煮つけ”は、煮汁で魚を楽しむ料理です

和食のまっとうなおいしさ 魚の煮つけ

煮汁、付け合わせにも気を配って

煮つけの味をアレンジして作る さばのみそ煮

味がほろりとやわらかい いわしの昆布煮

魚・肉を揚げる

フレッシュな揚げ物を食卓に並べましょう

家で作ると別格のおいしさ あじフライ

ふっくら香ばしいこちらもおすすめ いわしのフライ

みんなの喜ぶ顔が見たいから とんかつ

フライにつきもののキャベツの話

ゴロンと大きな骨付き肉でつくりたい 鶏の本格唐揚げ

揚げる前に、皮を元通りに戻してあげる

唐揚げは「揚がった」と思ってから、さらに30秒

じつは唐揚げよりも簡単 フライドチキン

冷凍えびもおいしく えびの素揚げのスパイスあえ

一度にできて大勢で食べられる 揚げ肉だんご

指の間からギュッと肉だんごを絞り出す

余った肉だんごの楽しみ方

 

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