ふつうがあたらしい。『毎日のあたらしい料理 いつもの食材に「驚き」をひとさじ』

おいしいは3でつくる 新しい献立の手引き
定価:1,650円
発売日:2022年2月16日
発行・発売:KADOKAWA
判型・体裁:B5判(25.7 x 18.2 x 0.8cm)、112ページ

あたらしいです。
料理研究家・今井真実さんは初著書にして定番料理にあたらしさを見せてくれました。
まるでベテラン料理家のような風格漂うレシピです。

目次

「あたらしい」とは?

それは、ページをめくるとすぐにわかります。
表紙にもなった今井さんの代表料理「あたらしい焼豚」だけでなく、「燻さないベーコン」、卵だけで作る「たどり着いたカルボナーラ」でもそのあたらしさはわかりますが、肉と魚や、野菜の掛け合わせで作るお惣菜などが「言われてみればそうか」という静かな驚きのあるレシピなんです。

あえて「時短」とか「簡単」とか言わずとも、毎日のことですからそもそも簡単ですぐできるもの。
派手ではないけれど、「ああすぐ食べたい」と、台所に立ちたくなる料理たち。

お茶碗一杯のごはんがあれば、大ごちそうになるってことを感じさせてくれるんです。

それらが今井さんのやさしい文章たっぷりに綴られています。時折はさまれているコラムも、今井家の食卓を一緒に囲んでいるような感じ。もともとnoteで発信していたことがきっかけで出版が決まったとのことですから、それもそうか、なわけです。

そうした詳しい出版のいきさつについてはぜひ今井さんのnoteを読んでみてください。
「毎日のあたらしい料理」 初のレシピ本が出版されるまでのこと。

また、初出版となった今井さんに、スープ参加の有賀薫さんがインタビューし、今井さんの次作、『いい日だった、と眠れるように 私のための私のごはん』(左右社)の担当を含む3人の編集者も参加したトークイベント「こうして私は料理家になった」が3月25日にオンラインで開催されました。
このイベントについては、私のnoteでも、お伝えしています。
アーカイブ公開リンクなどをまとめてありますので、ご覧いただくのが早いかも。

行間の説明があるレシピ

さて、話を元に戻して。

本書のあたらしさは、撮影を担当されたのが今井さんの夫である今井裕治さんであることも、プラスに働いているように思います。
自然光で撮られたことにより、より日常の料理である感が増しています。
料理本にありがちな、よそ行き顔をしていないんですね。いつもの食卓なんだなあ、おいしそうだなあという感じ。

その食卓をよりわかりやすくデザインしている藤田康平さんはやっぱりすごいデザイナーだなと思うし。

ここ数年の料理レシピは、SNSの影響もあって、とにかく簡単に、文字量を少なく、できれば3ステップで表現することが求められます。
(売れている料理本を見てみてください)

しかし、料理の作り方は単に手順を追っただけでは表現しきれないことが多いのも事実。火加減だったり、混ぜ方だったり、どのくらいの状態になったら…というディレクションが大変に重要です。

今回の今井さんの本は、その部分を余すところなく、丁寧に拾い上げて表現されているので、文字を読むことをいとわない読者であれば、今井さんの意図するところがよくわかるのではないかと思います。

そういったレシピ表現は、それこそ10年前まえは当たり前でした。今回の本で丁寧な手順を掲載したのは、担当編集者にとってもはじめてのレシピ本編集だったからだと思われます(3月25日のトークイベントより)。

簡単すぎるレシピ表現に不安を抱いていた人は、本書をぜひ読んでみて。きっと腹落ちするのではないかと思います。
章の合間にはさまれているコラムも、もともとnoteでエッセイを書くようにレシピを発表していた今井さんならでは。

そういう意味でも、ぜひ手元に置きたい本です。

 

プロフィール

今井真実(いまい・まみ)
料理家。神戸市生まれ。「作った人が嬉しくなる料理を」という考えを元に、雑誌、web媒体、企業広告をはじめ、多岐にわたるレシピ製作を担当。noteに綴るレシピやTwitterでの発信が注目を集める。代表作に『30年間作り続けてやっとたどり着いた最後のカルボナーラ』など。世田谷で料理教室「nanamidori」を不定期で主催。
note  https://note.com/imaimami
Twitter  https://twitter.com/imaimamigohan

制作スタッフ

デザイン 藤田康平(Barber)
写真 今井裕治
スタイリング 来住昌美 今井真実
調理補助 野島二郎(野島商店)
DTP Office SASAi
校正 文字工房 燦光
編集 林さやか(編集室屋上)

目次

はじめに

私のとっておき
燻さないベーコン
たどり着いたカルボナーラ

本書の使い方

1章
主役のお肉とお魚は、思い込みをやめて身軽に
あたらしい焼豚
鶏胸肉のソテー
ローズマリーの鶏じゃが
茹で豚
豚ピーマン
ヒレカツ
ローストビーフ
蒸しブリ
塩鰹のたたき
茹でサバ
キャベツとねぎ、豚肉の元気鍋
コク旨いか鍋
【コラム】お刺し身好きのあなたに

2章
思いもよらない掛け合わせに驚く、絶品おかず
とうもろこしのオムrつ
とうもろこしのまんまる揚げ
ミニマムチャンプルー
半生ズッキーニのマリネ
ピーマンのすかすか詰め
じゃがいもと豆腐のかりふわ揚げ
アボカド大根
里芋のグラタン
こんにゃくあさり
ホタルイカ、新じゃが、そら豆のソテー
梨とロメインレタス、ブルーチーズのサラダ
旨味たっぷり野菜のポタージュ
美しい新玉ねぎのスープ
【コラム】お野菜ひとつの炊き込みご飯

3章
あと1品の副菜は「1食材」をぜいたくに生かして
きゅうりの水漬け
アンダルシア風なすのフリット
にんじんの唐揚げ
ごぼうの素揚げ
きゅうりのナンプラーマリネ
レンジで蒸しなす
素焼き大根
大根の甘醤油漬け
ブロッコリーのマスタードグリル
カリフラワーのベシャメル風
自家製ガリ
わかめジュレ
おとうフムス
ほうれん草のディップ
トマトおから
切り干し大根のナムル
しらたきの醤油炒め
こんにゃくチリチリ
えのきの素揚げ
しいたけだけの煮物
桃ディル
新玉ねぎの胡椒塩漬け
【コラム】ゆったりと食卓を囲むために

4章
何度だって作りたい、楽しくて嬉しい麺とご飯
焼きサバ寿司
じゃがバタご飯
鶏肉と梅の炊き込みご飯
ナンプラーたこ飯
煮るだけスパイスカレー
お手軽参鶏湯
自由な鶏のにゅうめん
アスパラとほたてのレモンクリームパスタ
たらこスパゲッティ
たっぷりねぎの和え麺
梅ごまたぬきうどん

 

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