スープ作家の面目躍如! 『朝10分でできるスープ弁当』
いかにもカラダがあったまりそうな表紙です。
じゃがいもにプチトマトの酸味、ツナ缶の旨味がオレンジ色のスープの中でほくほくした笑みをたたえたような写真だなあ。
被写界深度が深くして、背景に敷いたチェックのクロスがさらにあったかそうな雰囲気を醸し出しているなあ……
と、思わず本書を手に取ってみて。
この表紙のレシピはどれかしら? と探してみたらばなんと秋冬ではなく、春夏のレシピでしたよ。
なるほどプチトマトの項だったのね。
牛乳を加えたスープにトマトの赤みが溶け込んだらしく、とてもおいしそう。
じゃがいもは、うっかりしていると煮込みすぎて崩れてしまうから、スープジャーで余熱調理をするのが一番かもしれません。
目次
おいしいものが作れるようになるレシピ
本書の著者は、『365日のめざましスープ』(SBクリエイティブ)でデビュー後、次々にスープ本を発表、『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』(文響社)で第5回料理レシピ本大賞に入賞、スープ作家として精力的に活動中の有賀薫さん。
cakes(ケイクス)では「スープ・レッスン」、noteは「スープ・レシピ」、そしてTwitter @kaorun6では #置き弁スープ や #3000日スープ のハッシュタグでまいにち発信されていて、その発信力にも敬服しています(内容もまいにち実践する力も)。
有賀さんのレシピを実践して行ったら、食材や調味料は最低限なのにおいしいものが作れるようになるし、火入れの加減もわかるようになりそうな気がします。
だって、本書のスープジャーは余熱調理。
余熱でちゃんと火が通り、味が染み込むということがわかります。食材の旨みがあるので、化学調味料はもちろん、よけいな味付けも不要なのも体感できます。
野菜や肉や魚介類との組み合わせで十分な味付けになるし、組み合わせを変えていけば、味わいも食感も変わっていくでしょう。
本書のレシピでスープジャー弁当を作り続けたら、そういったことがわかるようになるから結果的に、料理技術も上がるような気がします。
ほっこり時間のためにスープジャー弁当
お勤めの人であれば、通常、お昼休みは1時間しかありませんね。
1時間しかないのに、どこかに食べに行ったり、コンビニに買い物に行ったりしていたら、それだけで15分や20分は簡単にロスしてしまいます。
だったら、外に行かずに手元にあるスープジャー弁当でほっこりしませんか。
とこの本は教えてくれています。
お勤めの人だけでなく、お留守番をしている人に向けてつくるスープジャー弁当や、自宅で仕事をしている自分自身のためのスープジャー弁当などでもいい。
本書を隅々まで読んだらね(レシピから時々添えられているPOINT、コラムページまで全部ね)、明日から面倒くさがらずにちゃんとやってみようっていう気になると思います!
野菜たっぷりがいいねスープ弁当
それでは、本書の構成を詳しくみていきましょう。
noteにも書きましたが、巻頭から5見開き半(目次除く)は、スープ弁当のよさ、作り方のコツ、スープジャーの利点がコンパクトにまとまっています。
そして「秋冬」と「春夏」の2部構成で、野菜類、きのこ類、豆類、そして豚肉と鮭、缶詰をメインの具材にしたレシピが並ぶので、何を作ろうかな、とパラパラ見るのに便利な構成。
ただレシピを読んでいくと時々、メインとしている食材がなくても成立するのでは? と思うレシピもあるのが少し気になりました。
が、いちばん最初が「玉ねぎ」のレシピで、飴色玉ねぎが簡単に出来上がる方法にはびっくり。オニオングラタンスープがこんなに楽に出来上がるなんて知らなかったー、てなります(明日やってみよう)。
また、かつお節のパックひとつでとるだしで「オクラと卵のかきたま汁」ができるとか、豚バラ薄切り肉をくるくる巻いて入れたら食べ応えアップとか、梅干しまるごと1個をきかせたノンオイルスープとか、味変のアイディアは覚えておくとぜったいに便利だと思う。
スタイリング にも工夫が
さらにスタイリングの工夫にも思わず感心してしまいました。
だってスープジャーは、色違いで4種(白・赤・黄・薄緑)、サーモスのもの1種類だけ。
中身が全てとはいえ、見開きの間をもたせる写真にするのはどうするんだろう、という心配はご無用でした。
被写界深度が深いので、背景がほとんどじゃまにならず、スープジャーの口のぎりぎりまで入った中身がきっちりと主張してきていて、ページのデザイン的にもいい具合にまとまっているのです。
全体に暖色トーンなのも落ち着きを感じさせます。
暖かさは生きる活力を与えてくれますもんね。
お手元にぜひ一冊どうぞとおすすめしたいスープジャー本です。
著者プロフィール
有賀 薫(ありが・かおる)
(本書より)スープ作家。2011年から7年間、約2800日にわたって、朝のスープ作りを日々更新。スープの実験室「スープ・ラボ」をはじめ、イベントや各種媒体を通じ、おいしさに最短距離で届くシンプルなレシピや、日々楽に料理をする考え方などを発信している。著書に『365日のめざましスープ』(SBクリエイティブ)、『スープ・レッスン』(プレジデント社)、『おつかれさまスープ』(学研プラス)。『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』(文響社)で、第5回料理レシピ本大賞入賞。
スタッフ
デザイン: 岡睦(mocha design)
撮影: 中島慶子(マガジンハウス)
鈴木真貴(著者近影)
スタイリング: 加藤洋子
編集協力: ループ
DTP: 株式会社アド・クレール
撮影協力: サーモス株式会社
本書の目次
一品で心もお腹も満たされるスープ弁当をはじめよう
スープジャーで簡単! スープ弁当が朝10分でできる!
一人分でもおいしい! スープ弁当のコツ
スープジャーのいいところ
PART1 秋冬のスープ弁当
【たまねぎ】
シンプルオニオンスープ
パン入りのオニオンスープ
たまねぎたっぷりビーフシチュー
たまねぎと牛ひき肉の塩スープ
玉ねぎトマトカレー
肉じゃがスープ
【にんじん】
にんじんとサラダチキンのスープ
にんじんとパセリのカレースープ
にんじんと油揚げの和風スープ
【小松菜】
小松菜と豚肉のケチャップスープ
もち麦と鶏ひき肉のリゾット
小松菜と卵焼きのスープ
【ブロッコリー】
ブロッコリーと厚揚げのごまみそ汁
ブロッコリーとトマトの酸辣湯
ブロッコリーとえびのカレースープ
【長ねぎ】
長ねぎと鶏皮の塩スープ
長ねぎと豚のキムチスープ
焦がしねぎと鶏肉のスープ
【きのこ】
きのこと牛肉のスープ
きのこと豆腐の坦々スープ
きのことトマトの玄米リゾット
【かぼちゃ】
かぼちゃと鶏肉の豆乳シチュー
かぼちゃのピリ辛野菜カレー
かぼちゃと鶏肉の押し麦リゾット
【白菜】
白菜と鶏小判の塩スープ
鶏小判と春雨スープ
白菜と鶏小判のトマトスープ
【かぶ】
かつとツナの和風スープ
かぶとえびのとろみスープ
かぶと切り干し大根のスープ
【鮭】
シャケとじゃがいものバターみそ汁
シャケと野菜のミルクスープ
シャケと豆苗、まいたけのみそ汁
【豚肉】
くるくる豚汁
カレーくるくる豚汁
豚とごぼうのみそうどん
Column あると便利! 優秀食材
PART2春夏のスープ弁当
【キャベツ】
キャベツとハムのサワースープ
キャベツとさんま缶の中華スープ
キャベツとソーセージのポトフ
【プチトマト】
プチトマトとサバ缶のみそスープ
プチトマトとツナのクリームスープ
プチトマトとサバ缶のバジルスープ
【なす】
なすと豚ひき肉のしそスープ
麻婆なす風スープ
なすと豚肉のエスニック風スープ
【オクラ】
オクラと卵のかきたま汁
オクラと長いものスープ
オクラと鶏肉の卵スープ
【ピーマン】
ピーマンとベーコンのみそ汁
ピーマンとじゃこの昆布スープ
ピーマンとザーサイのピリ辛スープ
【チンゲン菜】
チンゲン菜とくずし豆腐の精進スープ
チンゲン菜と豆腐のあっさり梅スープ
チンゲン菜と鶏肉の中華スープ
【きのこ】
なめコーンスープ
えのきとコーンのかきたまスープ
なめこと鶏ひき肉のほうじ茶リゾット
【缶詰】
豆とミートソース缶のクイックスープ
豆入りミネストローネ
ミートソース缶のトマトペンネ
食材別インデックス