レシピだけでなく長年使ってきたからわかる黒酢の使い方、効果も学べる

ウー・ウェンの毎日黒酢
定価:1,980円
発売日:2024年12月6日
発行・発売:講談社
判型・体裁:A5判(15 x 21 x 1.3 cm)、128ページ

北京出身の料理研究家、ウー・ウェン先生による黒酢の使い方をじっくり解説しているのが本書です。

 

目次

読みものとして味わうレシピ

左開きの縦組みなので、いわゆる「読み物」です。
そのなかで語られる料理レシピはウー・ウェン先生のお話しを聞いているかのようなやさしい語り口調です。
しかもその語りかけの様子がいいんです。決してたくさんの量があるわけではなくて、ひとつにつき4ページぐらい。

だけど、とても情報量が多くて、北京ではそうなのかへー、みたいにうなづきながら読んでしまいます。

「本書では、毎日の家庭料理でどんなふうに黒酢を使ったらいいか、黒酢を使うことでどんな効果があるのか、私が長年作ってきた料理をもとにお話ししします」

これが本書が目指すゴールです。

例えば、「中国の黒酢事情」というページでは、中国では地名で表現するのが一般的で、「北京酢」のようにいうのだそうです。固有名詞じゃないんですね。
地域ならではの風味や作り方もあるそうなので、より地域の特徴が感じられます。
作りたい料理に合わせて選びやすいのもいい。

そんな中国の黒酢文化を背景にしながらも、本書では日本のメーカー、ミツカンの純玄米黒酢を使ったレシピを紹介しています。たとえば「たたききゅうり」であれば、きゅうりと粗塩、黒酢の基本のたれとミントの葉、という具合。
基本のたれだって、黒酢に醤油、ごま油、黒こしょうだけ。つまり、普通に作りやすい。

さらに、このレシピで黒酢を使う役割は……という説明が加えられているので、腹落ち感があるだけでなく、覚えてしまえば他のレシピでも応用できる考え方が習得できるということなんです。

そういうところに、ウー・ウェン先生の気遣いが感じられます。中国家庭料理といえば、ウー・ウェン先生となるのもうなづける理由なんですね。

レシピは全体に甘みは使われていないものが多く、使われていたとしても砂糖ではなくはちみちだったりします。
安心って思う人もいるでしょうかね。

まずはウー・ウェン先生の説明を聞いて(読んで)、少ない食材で作れるシンプルなレシピを直感で選んでみたらいいと思います。
一気に料理上手になれると思います。

私も本書を手に取ったのがまさにそこ。
北京料理というほどでなくても、日本の町中華じゃなくて、ちゃんと現地の味がするような中国料理を、お酢レシピを通して学んでみたかったんです。
そのニーズを本書はしっかり満たしてくれました。

 

プロフィール(本書より)

ウー・ウェン
中国・北京生まれ。ウー・ウェン クッキングサロン主宰。1990 年に来日。料理上手な母から受け継いだ料理が評判となり、料理家に。医食同源が根づいた中国の家庭料理とともに中国の暮らしや文化を伝えている。主な著書に『ウー・ウェンの蒸しもの お粥』 (高橋書店)、『シンプルな一皿を究める 丁寧はかんたん』(講談社)、『10品を繰り返し作りましょう わたしの大事な料理の話』(大和書房)など。
https://cookingsalon.jp/

 

スタッフ

撮影:邑口京一郎
スタイリング:西﨑弥沙
装丁・デザイン:若山嘉代子 L’espace
制作協力:ミツカン

 

内容

はじめに
もっと酢に親しんで、料理に使ってさらに件健康に。

家庭料理の強い味方
10種のタレで食べ方無限大

毎日食べたい魚
まるごと食べる天然のサプリメント

使う野菜は一種類
野菜の持ち味を引き出す力

小麦粉との密な関係
主食は麺

まろやかに、やわらかく、さっぱりと
少ない調味料でつくる肉のおかず

滋養をつけて体を整える
スープは栄養のある水分